日本の漫画家には猫好きが多いように感じている。時代的な変遷もあったかもしれないのでいいなおすと、日本の漫画家には、少なくともここしばらくのあいだ猫好きが多いようにわたくしは感じている。
幾花にいろ作の漫画『イマジナリー』の単行本第2巻(白泉社)の「あとがき」で、作者は、作中に登場するキャラのなかで一番好きなのは「ノモリ」だと述べている。曰く、「ノモリはいまんとこ かわいいしか仕事がない。」「かわいいしか仕事がないってやべえな うちのネコじゃん」
「ノモリ」というキャラクターは人間である。「ノモリ」は、本名の「雨森睦弥(あめのもりむつみ)」からついたニックネームらしい。女子大生4人組のうちの一人で、作品のメインキャラクターではない。上記のたとえかたからすれば、幾花にいろは明らかに猫好きである。これで猫好きでなければウソであろう。
世に「犬派/猫派」という言葉がある。それでいうと、いまのところ漫画家には「猫派」が多いような気がする。幾人かの漫画家の猫を題材にした短編を集めた「猫漫画アンソロジー」のようなものは存在するが、「犬漫画アンソロジー」のようなものが存在するかどうか。少なくともわたくしは聞いたことがない。
漫画家に限らず、小説家にしても画家にしても、表現者は自分の好きなもの、関心のあるものをとりあげる回数が多くなると思う。
他にわたくしがよく読む漫画家では、たとえば道満晴明は猫好きだと思う。彼の漫画には「猫キャラ」が数多く登場し、しかも総じて魅力的に描かれている。それに対して「犬キャラ」は、登場数も少なく、「猫キャラ」ほど好意的には描かれていないように見える。「犬キャラ」よりも「猫キャラ」のほうが「ひいき」されているように見え、道満晴明は「猫派」であるように見える。
それでいくと、手塚治虫、白土三平の二大巨匠は、「犬派」であったか。
2026.5.6.
改2026.5.7.