もう何十年も前のことだが、ある日の新聞のテレビ欄で、その日に放送されるある番組の内容を紹介していた。番組の中でクイズが出題される。ヒントをいくつか出して、そこから答えを推測する、という形のクイズだったようである。「夜中にやってくる」「藁をまとっている」「包丁を持っている」というヒントに対し、ほかの回答者は全員「なまはげ」と回答したが、宇崎竜童だけ「泉谷しげる」と回答した、と書かれていたのが記憶に残っている。
それからずっと後、いまから10年ほど前にテレビのドキュメンタリー番組を視ていると、かなり古い映像のようにも見えたが、実際に「なまはげ」の行事を映像に収めたものが流された。
それを視て、自分が幼い頃にこの行事に参加した(させられた)ら、とても怖かっただろうと思った。「なまはげ」の見た目ではなく、行事の演出の構造がである。
幼児は全面的に親の保護のもとに置かれる。幼児からすれば、自分に害をなすために外から家に侵入しようとするものを、親は防いでくれなければならない。それが、外敵に迎合して家の中に引き入れ、さらには、自分は泣いているのに親は笑っているのである。
すぐに虚構だとわかるとしても、わかるまでに感じる恐怖はいかばかりか。絶望にまで至ってしまうのではないか。
2026.5.6.